ブランドがブランドたる所以は何でしょうか。強いブランドほどネーミングやロゴなど、そのブランドを構成する要素を意識的に打ち出しています。
今回は、ブランドを構成する最小単位であるブランド要素について、120年以上の歴史があるコカ・コーラを元にご紹介します。
ブランド要素とは
ブランド要素とは、名称、ロゴマーク、キャッチコピー、キャラクター、
色、ジングル(音)など、ブランドを構成するさまざまな最小単位のことです。(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)
上記の通り、ブランドを構成するさまざまな最小単位のことですが、
代表的なものとしては下記があげられます。
- ネーミング
- 色
- ロゴマーク・ロゴタイプ
- ジングル・音楽
- キャラクター
- パッケージ
- キャッチコピー
- ドメイン(URL)
- 匂い
それでは、コカ・コーラにおける各ブランド要素を見ていきましょう。
ネーミング
名称はそのまま「コカ・コーラ」です。
ザ コカ・コーラ カンパニーが製造販売を行っているコーラの名称でアメリカではコーク (Coke)と呼ぶのが一般的です。日本では日本コカ・コーラ株式会社が1957年に設立されました。
コカ・コーラの名称は、コカの葉とコーラの実を原材料に使っていたことが由来とされています。
色
コカ・コーラのイメージカラーは「赤」です。
ロゴマーク、パッケージ、Webサイト、自動販売機などで使用されています。
ロゴマーク・ロゴタイプ
一目瞭然ですね。
2015年現在、Webサイトに掲載されているロゴマークです。
1950年代頃から、イメージカラーが赤に定着したようで、ロゴにも反映されています。
コカ・コーラのロゴの歴史については、下記に詳しく掲載されています。
http://crowdworks.jp/lp/cl/competition/logos/articles/3372
ジングル・音楽
日本では1962年よりTVCMがはじまっており、CMソングは50曲以上にのぼります。
1962年の「コカ・コーラの唄」、2006年の「コカ・コーラの唄(スカッとさわやか)」などコカ・コーラの魅力を歌詞にした曲から、キャッチコピーである「I feel Coke」を連呼する同名曲もありました。最近では『WILD HEALTH』というキャッチコピーの際に、安室奈美恵の「WILD」という曲が使われていました。
ジングルでは、過去に「スカッとさわやかコカ・コーラ」「さわやかになるひと時」などキャッチコピーと併せて展開されていたものから、
最近では「Open Hapiness」と呼ばれるジングルのモチーフが多数のアーティストによって様々な楽曲内で自然な使われ方をしています。
このようにCMソング・ジングルはキャッチコピーやキャンペーンに連動するように設計されています。
キャラクター
特に決まったキャラクターはいませんが、1931年のコカ・コーラ社クリスマスキャンペーンにおいて、画家のハッドン・サンドブロムが描いたサンタクロースが有名です。世界中で愛され、クリスマスのシンボルとまでなっています。
パッケージ
パッケージといえば、この瓶が有名です。いわゆる「コンツアーボトル」と呼ばれるものです。
1960年には、パッケージである瓶のボトル自体が商標と米国特許局に登録されました。
これにより、他社と差別化を図り、コカ・コーラの独自性を打ち出すことに成功しました。
現在のパッケージは、ペットボトルと缶がメインになりました。
ペットボトルでは、ラベルに名前が入ったネームラベルや歌詞が印字されたソングボトルなども出しています。オリジナルのネームボトルをつくれるキャンペーンやイベントなども実施しており、パッケージとキャンペーンと連動させる手法は非常に面白いですね。
キャッチコピー
日本独自のキャッチコピーが多く、中でも
「スカッとさわやかコカ・コーラ」
というキャッチコピーが、商標登録もされ認知度が高いです。
2007年からは
「the Coke Side of Life(Cokeのきいた人生を)」
というコンセプトを全世界共通のキャンペーンとしてスタートしています。
ドメイン(URL)
日本コカ・コーラ株式会社では、コーポレートサイトとは別に商品毎のブランドサイトを
運営しており、コカ・コーラもhttp://www.cocacola.jp/というドメインのブランドサイトがあります。
各ブランドサイトでは、製品詳細やCM、動画、キャンペーンについて紹介しています。
また、コカ・コーラ パークというキャンペーン情報やクーポンのダウンロード、ゲームが楽しめる
無料会員サイトも運営しています。
日本コカ・コーラ株式会社
http://www.cocacola.co.jp
コカ・コーラ ブランドサイト
http://www.cocacola.jp
コカ・コーラ パーク Coca-Cola Park
http://c.cocacola.co.jp/
匂い
コカ・コーラの匂いといえば、甘い独特な香りですね。
レシピは一般に公開されていないため、原材料は詳しくはわかりません。
2011年にアメリカのラジオ番組で、コカ・コーラ発明者ジョン・ペンバートンの手書きレシピが
発見されたと話題になりましたが、コカ・コーラ社は否定しています。
ブランド要素の機能とは
コカ・コーラのブランド要素をみてきました。ブランド要素とは名称、ロゴマーク、キャッチコピー、キャラクター、色、ジングル(音)などブランドを構成する要素です。それぞれの要素は一貫したブランド・イメージを与えることができるように設計することが大切です。
なぜなら一貫したブランド要素を設計することで、他の商品・サービスとの差別化を図ることができるからです。
当たり前の話かもしれませんが、コカ・コーラとペプシコーラを区別するには、コップに入った状態では見分けがつきません。それぞれの缶のパッケージを見る事で、コカ・コーラ、ペプシコーラだと認識することができます。缶についてもイメージカラーで設計されていますので赤と青の缶があれば、赤=コカ・コーラ、青=ペプシコーラと連想することができます。また自動販売機も同様にそれぞれ赤と青のイメージカラーが使われています。
パッケージを見るだけでもコカ・コーラのブランド要素が一貫してブランドのイメージを与えることができるように設計、運用されていることがわかります。
変わらないコカ・コーラのブランド・イメージ
コカ・コーラの発信するブランド・イメージは発売当初から現在まで一貫しています。
1962年の「スカッとさわやかコカ・コーラ」というキャッチコピーは2006年に「Coke,please! – スカッとさわやかコカ・コーラ」というフレーズでリバイバル使用されています。
また、「コカ・コーラ」初の新聞広告(『アトランタ・ジャーナル』誌(1886年5月29日付))では「コカ・コーラ、おいしく!さわやか!軽やかに!元気はつらつ!」(Coca-Cola,DELICIOUS!REFRESHING!EXHILARATING!INVIGORATING!)というキャッチコピーをつけています。
キャッチコピーを意図的にTVCMやキャンペーンなどにも取り入れ、コカ・コーラは「さわやか」な炭酸飲料というイメージを消費者にアピールしていきます。そして、発売当時から一貫して継続的にメッセージを発信した結果、それは消費者にも受け入れられ、発売から120年以上が経った現在では世界200カ国以上で愛される炭酸飲料になりました。
まとめ
歴史があるブランドだけに、それぞれの構成要素から直ぐにコカ・コーラというブランドが浮かんできます。強いブランドはロゴ、イメージカラーなどもすぐに答えられてしまうものです。
コカ・コーラのブランド要素をみることで、ブランド要素を統一することの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。
ブランドを構築する際には、その他の有名なブランドも是非参考にしてみてください。