セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

話題の事例

今治タオルのブランド進化

投稿日:2019年12月23日 更新日:

今治タオル専門店「伊織」は12月5日、「東急プラザ渋谷」にオープンする。12月3日マスコミ向け内覧会を開催した。

東急プラザ渋谷のコンセプトである「大人をたのしめる渋谷へ」を受け、店舗コンセプトを「おとなのための上質なくらし」に設定した。上質かつ日本のモノづくりを伝える商品をラインアップ。タオルだけでなく、リラクシングウェアも強化し、タオル地の作務衣、バスローブなどをそろえた。

また、プラスチックバッグ削減の動きを受けて、タオル地の風呂敷を展開。タオルにもなり、ラッピング、ストールにもなるマルチな商品となっている。

2019年12月5日 流通ニュース
今治タオル専門店/「伊織」東急プラザ渋谷に出店、タオルウェア強化

「今治タオル」は、かつてタオル業界が存立の危機に立たされたときに誕生した、逆境から生まれたブランドである。

今治は元々タオルの生産地として有名な場所ではあったが、以前はブランディングの不足もあり、今治タオルの知名度自体は決して高くはなかった。そのようななか、2000年前後から中国製のタオルが大量に輸入されたことにより、業界全体が壊滅的な打撃を受けることとなった。特に、タオル生産の一大拠点であった今治では、その影響は大きかった。

そのようなこともあり、2006年より、国の支援で佐藤可士和氏をブランディングプロデューサーとして迎え、本格的なブランディングを行った。これにより、「今治タオル」は知名度を上げ、社会に支持される存在となっていったのである。

紆余曲折を経て、ブランド化に成功した今治タオルは、今では幅広いラインナップを揃え、タオルの可能性を広げるブランドとして、リラクシングウェアなどへブランド拡張が始まっている。

危機から生まれた「今治タオル」というブランドが、今ではタオル業界全体を牽引するほどの存在へと進化した。

ブランディングの価値と大切さが、よくわかる好事例ではないだろうか。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

関連記事

インバウンド勝ち組、高山市の“まじめ”な取り組み

「プライベートの訪日は3回目。ヒダが『日本のアネックス(奥座敷)』と言われているのは本当かい? SNS(交流サイト)にはドイツの世界遺産『ライン渓谷』にも負けない景観とあったので楽しみ」と、ドイツから …

どう変わる? 国民的サウンドロゴ

「伯方の塩」で有名な伯方塩業(松山市)は、CMでおなじみの「は・か・た・の・しお♪」というフレーズを歌う2代目声優のオーディションを実施している。グランプリに輝くとウェブ広告に出演できるとあってネット …

いいちこ40年 記念麦焼酎発売へ

焼酎メーカーの三和酒類(宇佐市)は、麦焼酎「いいちこ」の発売40周年を記念し、40種類の原酒をブレンドした麦焼酎「iichiko 40」を4月上旬から全国の百貨店や酒店で発売する。 いいちこは、こうじ …

プロダクトブランドとガバメントブランドの相乗効果 茨城県龍ケ崎市のコロッケフェスティバル

ご当地コロッケの食べ比べを楽しむ「第7回全国コロッケフェスティバル」(富山新聞社など後援)は22日、茨城県龍ケ崎市で開かれ、17都道県の35団体が特産品を生かした自慢の味を振る舞った。会場には約5万7 …

酒は、百薬? 薬酒メーカーの養命酒が手がける、和のクラフトジン

養命酒製造は、今年3月に発売したクラフトジンカクテルの第2弾商品として「CRAFT GIN COCKTAIL ジンジャーとハーブのクラフトジンカクテル」を9月2日(月)より全国にて発売する。 近年の世 …

サイト内検索