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日本発の新たなイノベーションを生み出す素地 道の駅

投稿日:2019年7月22日 更新日:

国土交通省は19日、新たに「道の駅」6カ所を登録したと発表した。道路利用者への駐車場、トイレの提供や道路、地域に関する情報提供など、道の駅の機能を備えているのが決め手となった。これで全国の道の駅は1160駅となる。

6駅は「遠軽(えんがる)森のオホーツク」(北海道遠軽町、国道450号)▽「グランテラス筑西」(茨城県筑西市、国道50号)▽「たかねざわ元気あっぷむら」(栃木県高根沢町、町道434号)▽「野沢温泉」(長野県野沢温泉村、国道117号)▽「伊豆月ヶ瀬」(静岡県伊豆市、国道414号)▽「筑前みなみの里」(福岡県筑前町、筑紫野三輪線)。

野沢温泉は農産物直売所や新物産センター(ショップ、情報コーナー、農家レストラン)のほか、多目的ホールや地域展示兼交流ホール、試食室などの機能を持った地域活性化施設を併設する。交流人口の推進、農業者・観光客・住民などの交流による地域活力の創出を目指すのが特徴の一つとなっている。

観光経済新聞 2019/7/7
国交省、「道の駅」新たに6ヵ所登録

旅行の休憩所や地場観光産業の起点として、すっかり定着した道の駅。ある意味「道の駅」そのものが提供する価値がブランド化している様子も伺え、今では「○○の駅」という名称が山だの海だのあちこちで見受けられる。現在では多目的ホールなども併設され、地元住民の生活拠点の一つとしての機能も持ちつつある。地方のGMSやショッピングモールが集客に苦戦する傾向があるなか、道の駅は店舗が増加し続けており、地域活性化の源にもなっている。

道の駅がこれだけ人気になった理由は、その土地・その場所でしか購入できないものが多数そろっているからであろう。全国販売できるような商品を持てず、商圏が狭いことが逆に手軽であり手頃であって、近所のスーパーなどでは購入できない希少性価値を持ち合わせたことで、お客様の購買意欲をそそるというマーケティング戦略の理想的なかたちにつながっている。

その結果、大規模な生産設備を持たない地場企業や零細農家などでも参入が図りやすく、なおかつ地元の高校や大学などとの産学連携による共同開発商品なども販売しやすいというメリットが出てくる。参入障壁が低いために、試行錯誤の果てに生まれたチャレンジ精神のある商品が誕生しやすく、その過程で一躍ヒット商品となり、地域観光の目玉になるような事例も着々と出てきている。

静岡・滋賀・長野の道の駅でバカ売れ中!地元食材を使った、看板メニュー5選

https://www.walkerplus.com/trend/matome/article/187417/

ウォーカープラス 2019/5/2

かつては、「大きいことは、いいことだ」という時代もあったが、こと道の駅においては「小さいことも、いいことだ」ということになる。道の駅は、意外なかたちで日本発の新たなイノベーションを生み出す素地を、静かに作り上げ始めている。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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