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アンゾフのマトリクスとは? 富士フイルムの事例に学ぶ

投稿日:2018年7月4日 更新日:

マトリックス

「アンゾフのマトリクス」をご存じでしょうか。経営学の教科書によれば、イゴール・アンゾフ(1918-2002)は「真の経営戦略の父」であり、アンゾフのマトリクスは「もっとも著名な経営戦略ツール」です。しかしその割には、一般企業には意外と知られていないように思います。今回はアンゾフのマトリクスを、富士フイルムの事例に当てはめて学びましょう。

「製品」と「市場」を軸にしたマトリクス

アンゾフのマトリクスは、本業の低迷に苦しんでいるものの、どうやって新しいビジネスを展開していけばいいのか悩んでいる企業にとって、大きな手掛かりとなるツールです。
なによりもわかりやすい。「製品」と「市場」を軸とした2×2のマトリクスで、それぞれのマスを「市場浸透戦略」「新市場開拓戦略」「新商品開発戦略」「多角化戦略」と位置付け、どの戦略を取るかを決めるものです。

アンゾフのマトリクス

「シナジー」と「コアコンピタンス」を生かす

このマトリクスが示している重要なポイントは2つです。1つめは、企業を成長させようとするときは、自社の「製品(技術)」か「市場(顧客)」のどちらかを軸に展開していくことです。技術が強いのなら、その技術を新しい市場に展開する(新市場開拓戦略)ことが大事ですし、顧客接点が強いのなら、その顧客に新しい技術を提供する(新商品開発戦略)ことが大事です。既存の技術、あるいは市場を生かしてシナジー(相乗効果)を発揮していくことが大切なのです。
もう1つは、「製品(技術)」または「市場」のどちらかに強い力を持っていなければならないことです。こういった自社の強みのことを「コアコンピタンス」と呼びます。コアコンピタンスを生かした成長戦略が求められるのです。

富士フイルムのマトリクス

ここで、富士フイルムの成長マトリクスを見てみましょう。
富士フイルムはご存じのとおり、主力商品の写真フィルムがほぼ消滅するなか、新しい業態に変革しなければなりませんでした。そこで富士フイルムは、実際に4象限のマトリクスを作成したそうです。
4象限マトリクスを簡略化して解説してみましょう。

富士フィルム

1つめの市場浸透戦略は、既存の写真フィルムなどの技術を既存の市場に提供することです。興味深いのはインスタントカメラ「チェキ」が年間500万台の大ヒットを記録し、デジタルカメラの販売台数を逆転していることです。既存の技術、既存の市場でも、実はマーケティング次第で新たな需要を掘り起こせるかもしれません。

2つめは新商品開発戦略です。富士フイルムはレントゲンフィルムやデジタルX線画像診断システムを通じて、医療業界に強い接点を持っていました。その医療業界に、レーザー内視鏡や医療用画像情報ネットワークシステムなど新しい技術を提供しました。

チェキ

現在も売れ続けているチェキ

(出典:http://instax.jp/

3つめは新市場開拓戦略です。既存のフィルム製造技術や光学レンズ技術を生かし、新しい市場に液晶用フィルムや携帯電話用プラスチックレンズを提供しています。

4つめの多角化戦略は、医薬品や化粧品・サプリメントなどです。ただ、富士フイルムの4象限マップでは化粧品は多角化戦略のマスに入っていますが、コラーゲンの酸化防止技術という既存の技術を生かした化粧品ビジネスは、新市場開拓戦略といえると思います。

以上が、富士フイルムの4象限マトリクスです。富士フイルムは自社の技術と市場を生かし、シナジーを発揮させた巧みな多角化戦略を取っていることがわかります。

企業の規模を問わず活用できる

このマトリクスは企業の規模を問わず適用できます。実際にガソリンスタンドに給油伝票を製造していた印刷会社が、このマトリクスを活用して、ガソリンスタンドに販促品を提供したり(新商品開発戦略)、保険証のカードの作成技術を別の業界に提供したり(新市場開拓戦略)して業態を変えた事例などもあります。
あなたの会社の強みは何ですか? 自社の製品・技術を新しい市場に展開したり、既存の市場に新しい製品・技術を投入したりすることはできますか? それが成長戦略の第一歩の問いかけなのです。

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